社史

ヒビノの安全への取り組み

強風で一部倒壊したLUNA SEAの東京ビッグサイト特設野外ステージ(1999年)強風で一部倒壊したLUNA SEAの東京ビッグサイト特設野外ステージ(1999年)

 1999(平成11)年5月、東京ビッグサイト特設野外ステージにおける「LUNA SEA 10TH ANNIVERSARY GIG [NEVER SOLD OUT]CAPACITY ∞」の本番3日前、セッティング済みだったNBUスピーカーシステムを支える土台(タワー)が突風にあおられ、一部倒壊するという事故が起こった。幸いけが人は出ず、PA事業部は急遽代替機材を搬入して、10万人もの大観衆を集めたコンサートは無事決行された。
 年々大型化する野外コンサートやイベントにおける「現場の安全」は、音響分野に限らず映像や照明、舞台装置も含めた共通の課題だった。特に照明分野では高所設置時の落下事故が深刻化しており、業界の垣根を越えた安全管理の徹底が急務だった。
 この倒壊事故をきっかけに、ステージ関連会社の横断的組織の必要性が叫ばれるようになった。相互の協力関係を作るとともに、安全に対する意識の共有を図るために、株式会社共立、株式会社シミズオクト、ヒビノの3社が発起社となり、2000年4月に音響、照明、舞台の主要各社による「舞台安全協議会」設立準備委員会が発足。同年10月に「NPO法人日本舞台技術安全協会(JASST)」が正式発足した。PA事業部の宮本宰が初代副議長に就任し、翌2001年4月の第1回総会における安全シンポジウムには、社長の日比野がメインパネラーとして参加した。
 JASSTでは、安全に関する調査研究、研修会やセミナーの開催、安全に関するガイドラインの作成や情報の発信などさまざまな活動を通して、業界の安全管理に大きな役割を果たし続けている。
 そしてヒビノ内においても、現場での安全意識向上を目指して積極的な取り組みが始まった。その前提として強く認識したのは、機械は壊れるものだということ、自然にはあらがえない、人間は間違えるものである、ということだった。これらを踏まえ、考え得る限りの事故に対して、それぞれの現場における最良、最善の対策の構築が図られていった。
 PA事業部では、一つ間違えば事故につながりかねなかった「ヒヤリハット」事例を事業部内のグループネットワーク上に集積し、データベース化している。機材を正常に作動させるのも「安全対策」と捉え、発生要因をヒューマンエラーと機材トラブルに分けて管理。原因の分析と事故回避の対策に役立てている。さらに、重大事故を回避する観点から音の質以上に安全を優先し、機材の改造を行うこともある。
 映像事業部もヒヤリハット事例を集めるとともに、色分けによる器具備品の耐用年数管理など、安全の「見える化」を推進。また、映像機器は床置きが多いため、特に機材の倒壊事故への対策を強化している。
 その他、両事業部では、JASSTが主催する安全衛生講習会などのセミナーへの参加や、低圧電気取扱いや玉掛け等の資格取得を積極的に支援・推奨。さらに全社的には、安全管理委員会や衛生委員会を定期開催し、現場の安全に加え、職場での病気やけがの事例報告といった衛生面における検討も行っている。
 コンサート・イベントの現場の第一線に従事する業者として、安全確保に率先して取り組む責務は重い。「想定外」はない――この覚悟で今後も安全対策に取り組んでいく。

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※ここに掲載した情報は、2015年2月発行の「ゴールなき頂を求めて 挑戦こそが我らの誇り ヒビノ株式会社50年史」より転載したものです。この記事の無断引用、無断転載を固く禁じます。

第4章 転換期 1994〜2003

第4の柱を求めて

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