社史

アナログからデジタルへ

デジタル・ミキシングコンソール ヤマハ「PM1D」デジタル・ミキシングコンソール ヤマハ「PM1D」

 2000年代に入り、音響関連機材は従来のアナログ処理からデジタル技術の導入が一気に加速した。
 アナログ・ミキシングコンソールは、イコライザーやディレイなどの周辺機器をケーブルでつないでいくことから、音質の劣化や電気的なトラブルのリスクが高くなるというデメリットがあった。一方、デジタル・ミキシングコンソールは、何種類もの周辺機器の機能を本体内に組み込むことができ、コンパクトかつ高音質でトラブルの少ない運用が可能になった。また、機器の設定値をデータとして記録し、ワンタッチで瞬時に再現できることは、オペレーション上画期的なことだった。さらにデジタル伝送が可能になると、現場での作業効率が格段に上がり、同時にケーブルの引き回し距離が長くなってもノイズの影響を受けにくく、音質を劣化させずに伝送できるようになった。
 成熟した機材の持つ「地音」の良さや、慣れ親しんだアナログ機材を愛するエンジニアも少なくなかったが、やはり安定した現場運用が可能となり、コンパクトかつ高音質なデジタル機材のメリットは大きかった。PA事業部は、業界に先駆けてデジタル化を強力に推進していくこととなった。
 2001(平成13)年5月に初めてデジタル伝送を含めたフルデジタルのミキシングコンソール、ヤマハ「PM1D」を現場運用すると、その後もヤマハ「DM2000」「PM5D」、Soundcraft「Vi6」などのデジタル・ミキシングコンソールを次々と導入していった。また、DiGiCoのデジタル・ミキシングコンソールはヒビノサウンド Div.(旧 PA事業部)からのリクエストがきっかけとなって、2004年にヒビノAVCセールス Div.(旧 AVC販売事業部)での扱いが開始された。

中学生時代の日比野宏明デジタル・ミキシングコンソール ヤマハ「DM2000」

 ヒビノAVCセールス Div.もまた、デジタル機材の有力ブランドの獲得に動いた。特に地上デジタル放送開始に伴う機材の入れ替え需要に対応するものとして、イギリスBBC等で採用実績を持つ放送用ミキシングコンソールの専門メーカー、CALRECと2003年6月に輸入総代理店契約を結んだ。当時国内では知名度の低いメーカーだったが、業界最高水準の自動リタンダントシステム(ユニットを二重化することで、もし異常が発生しても、もう一つのユニットによりシームレスな制御が継続できるバックアップシステム)を搭載するCALRECのデジタル・ミキシングコンソールは、その信頼性の高さと堅牢な作りが日本の主要放送局にも認められ、導入実績を積み上げていった。
 一方、映像機材も、SDI(シリアルデジタルインターフェース)、特にハイビジョン信号のデジタル伝送を行うHD-SDI規格(1995年に国内で規格化)を採用する機材が、2003年の地上デジタル放送開始前後から普及し始め、デジタル機材への移行を加速させていくことになった。

  • 前の節へ
  • 次の節へ

一覧ページに戻る

※ここに掲載した情報は、2015年2月発行の「ゴールなき頂を求めて 挑戦こそが我らの誇り ヒビノ株式会社50年史」より転載したものです。この記事の無断引用、無断転載を固く禁じます。

第4章 転換期 1994〜2003

第4の柱を求めて

PAGE TOP