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代表メッセージ

音と映像を軸に磨き上げた多様な事業を成長領域に展開し、AIなどのテクノロジーを掛け合わせて、ハニカム型経営を進化させる。 代表取締役社長 日比野晃久 音と映像を軸に磨き上げた多様な事業を成長領域に展開し、AIなどのテクノロジーを掛け合わせて、ハニカム型経営を進化させる。 代表取締役社長 日比野晃久

成長基調のもとで迎える「ビジョン2025」最終年度

2026年3月期中間期の業績は、売上高、営業利益及び経常利益がいずれも過去最高を更新しました。

売上高は、第1四半期に子会社化したシンガポールのSpectrum Audio Visualの連結化をはじめ、国内外のM&Aに伴う連結範囲の拡大を主要因として、増収となりました。大阪・関西万博の開催やコンサート市場の活況に伴う旺盛な需要を捉えたことも寄与しています。

利益面では、収益性の高いコンサート市場の拡大や高採算案件の寄与、一部案件の前倒し進捗に加え、販売価格の適正化、販売費及び一般管理費の抑制が利益を押し上げ、計画を上回る結果となりました。

こうした状況を踏まえ、通期の連結業績予想も上方修正しています。新規連結子会社の寄与と、コンサート・イベントサービス事業の業績けん引により、3期連続の増収増益を見込んでいます。

配当につきましては、1株当たり中間配当40円、期末配当40円とする年間80円を予定しています。今後も、安定配当を基本方針としつつ、利益成長と連動した持続的な配当水準の向上に努めてまいります。

当社グループを取り巻く主要市場は、近年、堅調な成長を続けています。中でもコンサート市場は、コロナ禍以前からの成長基調が再び力強さを取り戻し、新たに開業するアリーナがその推進力となっています。また、都市再開発によるホールの新築や、放送局の建替、スタジオの新設・更新を中心としたメディア・コンテンツ産業の設備投資も活発化しています。データセンターの国内市場も、2025年には約1.65兆円規模となり、2030年に向けて拡大が見込まれています。

4ヵ年の中期経営計画「ビジョン2025」の最終年度となる当期は、こうした成長市場を確実に捉えつつ、次のステージを見据えた取り組みを進める一年と位置づけています。

成長領域スタジアム・アリーナで事業基盤を強化

全国で整備が進むスタジアム・アリーナは、当社グループが重点的に取り組む成長領域です。当社は2025年11月、国立競技場やKアリーナ横浜、沖縄アリーナなど日本を代表するプロジェクトを多数手掛ける株式会社梓設計のスタジアム・アリーナビジネスユニットとの業務提携を発表しました。スポーツ施設と空港分野で国内トップクラスの実績を有するパートナーとの連携により、基本構想の段階から建築と演出設備を一体で設計できる体制が整いました。

従来のスタジアム・アリーナは、建築と演出設備が別々に検討されることが多く、体験価値や運営性を上流工程で十分に設計しきれないという構造的な課題がありました。本提携は、この“分断” を根本から解消するものです。演出設備を後付けするのではなく、建築計画と統合することで、顧客体験・運営効率・収益性を同時に高めるスタジアム・アリーナづくりが可能になります。

この取り組みが当社グループにもたらす経営効果は、いずれも確かなものです。

まず、最も大きな効果として、上流工程からの関与が可能になることで、受注確度が高まります。演出設備の仕様を早期に組み込んだワンストップ提案により、案件単価と競争力の向上が期待できます。また、施工後の運用・保守・更新まで継続的に携わることで、長期的な収益機会の創出につながります。さらに、スタジアム・アリーナで培った知見を、エンターテインメント施設やMICE施設などの周辺分野へ広げていくことが可能になります。加えて、公共性の高いプロジェクトへの参画は、企業としての信頼性やブランド価値の向上につながります。

本提携は、当社グループが次のステージに向けて歩みを進めるうえで、重要な基盤となるものです。

AIとデジタルインフラが広げる新たな可能性

こうした成長領域に加え、事業構造そのものに変化をもたらし得るテクノロジーの進化にも目を向けています。AIの活用は、当社グループのさまざまな領域で可能性を広げています。現在は、大型映像サービスや空港向けシステムなどで実装が進み、その効果が現れ始めています。

大型映像サービス事業では、生成AIを活用した映像制作により、お客様の求める世界観を短期間で創出できるようになり、「新しい表現を生む技術」としての役割が広がっています。企画段階でのイメージ共有が容易になることで、制作プロセスの効率向上にもつながり始めています。

また、グループ会社の日本音響エンジニアリングでは、音・電波・画像とAIを組み合わせて航空機騒音の自動判定や機種識別を行うシステムを開発し、空港などのお客様に提供しています。お客様の運用や判断を支える「実装技術」として実績を積み重ねており、AIによる分析を加えることで、監視業務の効率化と判定精度の向上に貢献しています。このように、AIを事業の現場に取り入れながら、グループ全体で活用の定着を進めています。

デジタル社会を支える基盤として、データセンターも急速に存在感を高めています。生成AIやクラウドの普及を背景に、全国でデータセンターの整備が進み、音環境・電磁環境・データ保全といった高度で専門的な技術が求められる場面が増えています。これらは、当社グループが長年培ってきた知見を発揮できる領域であり、社会インフラとして注目が高まるこの市場において、確かな手応えを感じています。

技術革新が加速する時代において、AIやデータセンターといった重要テーマを見据えつつ、当社グループならではの強みを掛け合わせ、次の価値創造へとつなげてまいります。

ハニカム型経営を進化させる次のステージへ

当社グループはこの10年以上、「ハニカム型経営」の考え方のもと、音と映像を軸に、機器販売・施工・サービスといった事業を一つひとつ磨き上げてきました。これらの事業が有機的に連携することで、プロジェクトの上流工程から運用フェーズまで一貫して応えられる体制を築いてきたことが、当社グループの強みです。

次の10年に向けては、このハニカムをさらに立体的に進化させていきます。都市再開発、スタジアム・アリーナ、データセンターといった成長領域に、多様な事業を組み合わせてソリューションの幅を広げていくこと。そして、AIをはじめとするテクノロジーを各事業に取り込み、より高度なニーズに応えられる体制を整えていくこと。これらの取り組みを両輪として、外部環境の変化を前向きに捉えながら、次のステージへ確かな歩みを進めてまいります。

今後とも、株主・投資家の皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。

当社グループの概要や経営方針、業績等をわかりやすく説明しています。

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