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代表メッセージ

M&A、新規事業、グローバル展開で広げた事業の強みをグループ連携で掛け合わせ、ヒビノならではの価値創出体制を確立。次の成長ステージへと挑戦を続けます。 代表取締役社長 日比野晃久 M&A、新規事業、グローバル展開で広げた事業の強みをグループ連携で掛け合わせ、ヒビノならではの価値創出体制を確立。次の成長ステージへと挑戦を続けます。 代表取締役社長 日比野晃久

2025年3月期はスタジアム・万博案件と新規子会社の貢献で好業績 2026年3月期は3期連続の増収増益と増配を計画

当社グループを取り巻く経営環境は、都市再開発やスタジアム・アリーナ改革の進展、さらにはメディア・コンテンツ企業の積極投資が続き、コンサート・イベント市場も活況を維持しています。

2025年3月期は、大型案件の増加と新たに連結対象となった子会社の寄与により、2期連続の増収増益を達成しました。中でも、「長崎スタジアムシティ」と「大阪・関西万博」の二大案件は、グループ総合力によるトータル・ソリューションの象徴であり、業績に大きく貢献しました。その結果、売上高は過去最高を更新し、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益はいずれも過去2番目の水準となりました。

2026年3月期は、新規連結子会社の寄与に加え、大阪・関西万博や「ジャパンモビリティショー」等の大型案件を見込んでおり、3期連続となる増収増益を計画しています。

株主還元については、2025年3月期の年間配当は1株当たり70円(中間配当40円(うち10円は「設立60周年記念配当」)、期末配当30円)とし、前期比25円の増配となりました。また、2026年3月期の年間配当は1株当たり80円(中間配当40円、期末配当40円)を予定しています。今後も、安定配当を基本方針としつつ、利益成長と連動した持続的な配当水準の向上に努めてまいります。

60周年を機に振り返る10年の歩み 3つの中期経営計画で築いた経営基盤

ヒビノ株式会社は、2024年11月13日に設立60周年を迎えました。これまで当社グループを支え、育ててくださったすべての皆様に、心より御礼申し上げます。節目にあたり、私たちは、過去10年の歩みを振り返りつつ、次なるステージへの決意を新たにしています。

この10年間、当社グループは「ビジョン300」「ビジョン2020」「ビジョン2025」という3つの中期経営計画に取り組んでまいりました。

2026年3月期は「ビジョン2025」の最終年度にあたり、「世界のヒビノへ」というビジョンの実現に向け、着実に歩みを進めているところです。「ビジョン2025」では、連結売上高750億円、連結経常利益45億円を掲げており、現時点の業績予想はそれぞれ660億円、40億円と、目標との間に乖離がありますが、残された期間で一つでも多くの成果を積み上げてまいります。

この間、当社グループは、自律的成長とM&Aによる非連続成長を両輪に、事業規模の拡大と利益体質の強化を進めてきました。

事業規模の拡大とともに、ポートフォリオの多様化も進み、環境変化に対するリスク耐性が高まりました。実際、特定ラジオマイク特需の終息やコロナ禍、東京五輪後の反動といった逆風も、複数事業・複数地域への分散によってカバーし、成長基調を維持することができました。一方、利益体質の強化は、将来への投資余力を生み出し、M&A、新規事業、グローバル展開といった成長投資の基盤となっています。

この10年で売上高は3.1倍、営業利益は3.3倍に成長。営業利益率も0.5ポイント改善しています。時価総額も129億円から246億円へと倍増し、資本市場からの評価も確実に向上していると捉えています。

この成長の原動力は、「M&Aの推進」「新規事業の確立」「グローバル展開の加速」「グループ連携の強化」に集約されます。

収益構造を変えたM&A 「ハニカム型経営」で環境変化に強い事業ポートフォリオを構築

この10年間で国内11件・海外3件、計14件(27社)のM&Aを実施し、連結子会社数は9社から26社に増加。従業員数も約1,700名に拡大しました。M&A子会社の売上高は38.3億円から358.5億円へと約320億円増加し、全体に占める構成比も19.9%から60.3%に上昇。当社グループの収益基盤は、まさにM&Aによって築かれたといえます。

当社は、「グループ間の連携を通じたシナジーの創出」「事業領域の拡大」「新領域への挑戦」を目的にM&Aを実施してきました。短期的な利益にとらわれず、中長期の成長性と経営方針の親和性、妥当な取得価額を重視しています。PMI(買収後の統合プロセス)についても、買収先の経営体制や文化を尊重し、従業員の処遇改善も含め、グループ全体の価値を最大化する段階的な統合を基本としています。

この姿勢を堅持したM&Aを推進することで、「ハニカム型経営」を高度化し、環境変化に強い企業体の実現を目指します。

建築音響分野を新規事業から中核事業へ 次なる柱を見据え、新領域にも着手

音響・映像の既存領域を越え、周辺・新領域への展開も着実に進めてきました。

建築音響分野では、2015年に日本音響エンジニアリング、2019年に日本環境アメニティという国内上位企業を傘下に加え、さらに騒音対策に強みを持つサンオーの参画により、専門性と対応力を高めてきました。これにより、建築音響施工事業は売上高105.9億円、営業利益10.3億円と過去最高を記録し、全体売上高の17.8%、営業利益の18.4%を占めるまでに成長しました。今や中核事業の一角を担っています。またこの分野は、プロジェクトが長期にわたって進行する特性から、コロナ禍のような急激な市場変化の影響を受けにくく、事業全体の安定性向上にも寄与しました。

加えて、オフィス家具や空間デザイン、映像制作、ものづくりなど、新たな投資も進めており、中長期の成長に向けた布石を打ち続けています。

グローバル展開を加速 「世界4極体制」の実現に向け、戦略的投資を継続

グローバル展開においては、M&Aや現地法人の設立を通じて、海外拠点の拡大に取り組んでいます。

2017年には北米にH&X Technologies社を設立し、2019年には韓国のSama Sound社、2024年にはオーストラリアのInSight Systems社を子会社化。これにより、海外売上高は4.6億円から81.1億円に伸長し、海外比率も1.5%から13.6%に上昇しました。2025年4月に子会社化したシンガポールのSpectrum Audio Visual社を含めると、進出国は10ヵ国に達しています。

当社グループは、日本・アジア・北米・欧州による「世界4極体制」の確立を目指しています。音響・映像を軸に、販売・施工、サービスを組み合わせたヒビノ独自のビジネスモデルを各地に展開し、グローバルなAV&ITグループとしての地位を築いていく方針です。

一方で、すべてが順調に進んだわけではありません。北米では、黒字化の見通しが立たない子会社を清算するという厳しい判断を下しました。欧州においても、現在は将来の展開に向けた準備段階にあります。

今後は、アジア太平洋地域での戦略的M&Aを継続し、欧州・北米でも再投資の機会を見極め、グローバルな成長機会を的確に捉えてまいります。

グループ連携による価値提供モデルを確立 売上高1,000億円を目指し、さらなる挑戦へ

当社グループは、映像・制御商品の拡充、エンジニアリング機能の獲得、建築音響分野への参入、映像制作への展開等を通じて、AV&ITに関する提案力、対応力を高めてまいりました。グループ各社の機能を横断的に活用し、連携による価値創出が具現化しています。

長崎スタジアムシティではサッカースタジアムやアリーナ、ホテルなどの多様な施設に向けて、映像・音響・照明システムを設計・施工。建築音響の一部施工も行いました。また、大阪・関西万博では、「大阪ヘルスケアパビリオン」内の体験施設「XD HALL」において、360度映像、立体音響、床振動、ARデバイスを融合したイマーシブシアターシステムを設計・施工。グループの技術力と創造力を結集した、先進的な空間を実現しました。

このような連携を促進するため、プロジェクト管理体制や横断型組織の整備、グループ営業会議の定例化など、体制強化にも取り組んでいます。海外子会社が有するリモート保守システムの国内展開にも着手しています。

これらの取り組みによって、企画・設計といった上流工程から参画し、一括受注、納入、保守までを網羅する高品質なAV&ITシステムの提供体制が確立。グループ総合力による唯一無二の価値創出モデルをさらに磨き上げてまいります。

当社グループは、これらの一連の取り組みによって、持続的成長に向けた基盤を確立してきました。私たちはその延長線上に、「売上高1,000億円」「海外売上高比率30%以上」という中長期目標を掲げ、これからも挑戦を続けてまいります。

今後とも、株主・投資家の皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。

当社グループの概要や経営方針、業績等をわかりやすく説明しています。

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