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代表メッセージ

社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業グループへ 代表取締役社長 日比野晃久 社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業グループへ 代表取締役社長 日比野晃久

業績は堅調に推移

2023年3月期は、東京オリンピック・パラリンピック特需の剥落などにより前期と比べ減収減益となりましたが、売上高は前期に次ぐ過去2番目の実績となり、業績予想を上回る営業利益及び経常利益を達成しました。

セグメント別では、当期より報告セグメントを変更し、音響・映像・照明の販売施工体制を一本化した販売施工事業が、販売を伸ばして増収増益となりました。建築音響施工事業は、放送局の建て替えや都市再開発に伴うホールの新築計画が中長期的に進行し、大きなビジネスチャンスとなっていますが、前期に大型案件が集中した反動で当期は端境期となりました。コンサート・イベントサービス事業は、コンサート市場の急速な回復によりコロナ禍前の業績を上回りました。

2024年3月期の連結業績予想は、コンサート・イベント需要、顧客の設備投資需要にさらなる回復の兆しが見られ、大型物件の工事進捗も見込めることから、過去最高売上高、収益拡大を見込んでいます。

アフターコロナ時代に対応した感染症等の危機に強い経営基盤を構築

「世界のヒビノへ」というグループのありたい姿からバックキャストして定めた中期経営計画「ビジョン2025」がスタートし、1年が経過しました。コロナ禍という未曾有の経験を経た当社グループの現状に対する私自身の強い危機感のもと、中期経営計画では、不測の事態への耐性確保が計画策定の骨格となっています。「ハニカム型経営」のさらなる推進によって外部環境の変化に強い事業ポートフォリオを構築することを目指し、特に“新領域”の開拓に邁進していく所存です。

ヒビノの知的資本を有効活用するバーチャルプロダクションサービス、騒音対策コンサルティング・工事の提供

中期経営計画1年目の成果としては、戦略事業として位置づける「バーチャルプロダクション」及び「騒音対策」の事業を前に進めることができました。

当社は、インカメラVFX技術を活用したバーチャルプロダクション事業を2021年7月に開始し、テレビドラマやCM、ミュージックビデオ制作等で実績を重ねてきました。国内では先行して技術とノウハウの蓄積を図ってきたことで、今日ではこの分野におけるトップランナーとなっています。既存事業で培ったコンサート・イベントにおける大型映像サービスの知見は、バーチャルプロダクション事業においても、LEDディスプレイの扱い方、システム構築、設置と撤去を繰り返す仮設での運用技術やエンジニアのチームワーク等さまざまな面で活きており、他社にはない優位性となっています。

インカメラVFX技術を活用するメリットは、「撮影の効率化」「ポストプロダクション編集の負荷軽減」「大規模なスタジオセットをLEDディスプレイに置き換えることによる廃棄資材の削減」等であり、それは働き方改革や環境保全といったSDGs時代の要請に応えるものです。当社が東北新社、電通クリエーティブX、電通クリエーティブキューブ及びオムニバス・ジャパンとともに進める共同プロジェクト「メタバース プロダクション」での活動を通じて、今後、さらにこの技術のメリットが周知されていくことでしょう。

当社グループが有する音や振動、建築音響に関する技術もまた、時代の要請に応えて「騒音対策」等の領域で注目を集めるようになりました。特に近年は、デジタルインフラ整備の一環として全国各地で建設が進むデータセンターに対する騒音対策・電磁波セキュリティニーズが高まりを見せています。2026年3月期までに騒音対策事業の売上高を50億円にするという目標を新たに掲げています。

バーチャルプロダクション及び騒音対策は、市場の拡大が見込め、自社の保有技術を活用できる事業であり、収益の柱となるよう育てていきます。

EC強化によるB to Cビジネスの拡大と新たなものづくりの確立

ECサイト「FULL-TEN(フルテン)」は、当社グループが取り扱う商品・製品の直販を行うチャネルとして、2022年4月より稼動させています。フルテンとは、アンプのつまみを最大値(目盛り10)にした状態を指す用語であり、「全力で取り組む」という私たちの思いを名称に込めました。

さまざまなECサイトが乱立する中であえて自社サイトを立ち上げた理由は、B to Bで培ってきたヒビノの強みを、B to Cで展開していくためです。まずは当社グループが取り扱う音響機器を軸にスタートしましたが、ECサイトに必要なのは独自性です。より自由な発想で、「FULL-TENでしか買えない」特別なラインアップを展開することで、B to Cの持つ無限の可能性を広げていきます。そのうえで忘れてはならないのは、ヒビノのDNAはものづくりにあるということです。

2022年12月、IoT(コネクテッド)関連製品を手掛ける株式会社Cerevoを連結子会社化しました。同社の強みは、ハードウェアからソフトウェアまで、企画開発から市場投入までのサイクルを速いスピードで実現できることです。今後は、ヒビノの新たなものづくりを担うR&Dの中核組織として、グループの知的資本を活かした世界初、業界初のプロダクトを生み出し、FULL-TENを通じて世界中のお客様へ価値を届けていくことを考えています。

インターネットを活用した新たなビジネスモデル創出に向けたテストマーケティングの場としても、FULL-TENを活用していきます。創業以来、リアル空間でのエンターテインメントを提供してきましたが、デジタル空間でのエンターテインメントなど、アフターコロナの時代に即した新しいものづくり、コトづくりにチャレンジしていきます。

これまでのヒビノを超えて新しいヒビノをつくっていく

このように、M&Aも活用しながら、ヒビノの強みを活かした新規事業の開発を進めていますが、「世界のヒビノへ」というビジョンを見据え、これまでとはまったく異なる“新領域”にもチャレンジしていこうとしています。たとえば、社会福祉や地球環境の保全に資する事業です。当社グループの技術をさまざまな社会課題の解決につなげていくことを、今後積極的に提案していきます。世界トップレベルのAV&ITグループを目指して、未踏の領域にも果敢にチャレンジし、未来への道を切り拓いていくヒビノにどうぞご期待ください。

今後とも、株主・投資家の皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。

当社グループの概要や経営方針、業績等をわかりやすく説明しています。

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